高齢者の糖尿病による問題

- 食後高血糖
- 認知機能低下・認知症リスク
- うつ
- 腎障害リスク
食後高血糖
糖尿病の患者さまは、加齢に伴ってインスリンの分泌が低下します。また、若いころと比べて筋肉量が低下したり、内臓脂肪が蓄積されたりするケースもよくあります。こうした要因により、糖尿病の治療が難しくなってくるのです。食後の血糖値が高くなりすぎることも多いので、お薬の見直しも必要になります。これまでは経口血糖降下薬のみで対応できていた患者さまのなかには、インスリン療法が必要になるケースもあります。
認知機能低下・認知症リスク
加齢に伴って認知機能が低下したり、認知症を発症するケースは誰にでも起こりうるのですが、糖尿病の患者さまはとくに注意が必要です。ご承知の方もいらっしゃると思いますが、糖尿病が進行すると、徐々に動脈硬化のリスクが高まります。これに伴い、血管性認知症を発症するケースが少なくありません。また、認知症の中でも最も多いアルツハイマー病についても、発症リスクが高まると考えられています。
うつ
高齢者の方に限られるわけではありませんが、糖尿病の患者さまが抑うつ状態になると、食事や運動などを適切に行えなくなるため、糖尿病を悪化させてしまうことがよくあります。これまではバランスのとれた食事を心がけていたのに、うつ病などによって栄養が偏ってしまい、血糖値が安定しなくなることもあります。また、家に引きこもるなど、活動量が低下することも糖尿病悪化の一因となります。このように、抑うつ症状によって血糖コントロールが難しくなるケースがあるので、患者さまの近親者や友人などが「うつ症状」に気づき、なるべく早い段階で対策を講じることが重要になります。
腎障害リスク
糖尿病が進行すると、腎臓の機能にも影響が及んでしまい、糖尿病腎症などの合併症も起こりやすくなります。こうしたリスクは糖尿病の患者さま全般にみられるのですが、高齢者の場合はとくにリスクが高くなります。高齢者の多くは、若いころに比べて腎機能が低下しています。そのため、血糖降下薬による副作用も起こりやすいです。当院では、こうしたリスクをきちんと見極め、腎障害を進行させないよう留意してお薬を処方いたします。
サルコペニア・フレイル
サルコペニアとは、加齢などが原因で筋肉量や筋力が低下することをいいます。サルコペニアが進むと転倒や要介護状態(寝たきり)になる可能性があります。サルコペニアは、「筋肉」と「喪失」を意味するギリシャ語を組み合わせた造語であり,65歳以上の高齢者の10%程度に該当するといわれています。フレイルは「虚弱」を意味しており、健康寿命を延ばすために注目されている言葉です。糖尿病患者さまではサルコペニア・フレイルが多いことが分かっています。体組成計という器機で全身の筋肉量を測定し、サルコペニア・フレイルを早期発見することが大切です。
- 井田 諭医師が開発したサルコペニア問診票がガイドラインに推奨されており、書籍・論文も執筆しております。